著作権(著作者人格権)に対して日本のWEB界隈の人は何かしらのアプローチを?

まぁ近頃いろいろと騒がれている著作権ネタ(著作者人格権)ですが、そもそも著作権著作者人格権)とは何なのか、それがインターネットに同影響を与えているのか、今後のインターネットはどうなって行くのかという視点で自分なりに見て行きたいと思います。

著作権著作者人格権)とは

著作財産権と著作人格権

 著作権は、著作財産権と著作人格権とから構成されています。双方の権利とも、著作物に関する複数の権利が束になったものです。
 著作物には、客観的なデータ(富士山の標高など)は含まれません。また、著作物となるためには、人間が創作した(新たに作り出した)ものでなければならず、機械的に模倣したものは含みません。また、著作物とは、あるアイデアに基づいて具体的に表現されたもの(小説、絵画等)でなければならず、アイデアそれ自体は著作物にはなりません。


知的財産権(特許・商標・著作権)の基礎講座 - 弁理士 松下正 -
(c)1991-1997 Tadashi MATSUSHITA / http://www.furutani.co.jp

著作者人格権

JASRACでは次のように述べられています。

◆公表権
著作物を公表するかしないか、公表するとすればどのように公表するかを決めることができる権利。
◆氏名表示権
著作物に氏名を表示するかしないか、表示する場合に本名を表示するかペンネームを表示するかを決めることができる権利。
◆同一性保持権
著作物の改変、変更、切除などを認めない権利。

(中略)

著作権法では、著作者人格権として「公表権」、「氏名表示権」、「同一性保持権」という3つの権利を定めているほか、著作者の名誉・声望を害するような著作物の利用は著作者人格権を侵害する行為とみなしています。


JASRAC - 著作人格権 -
http://www.jasrac.or.jp/profile/copyright/person.html

まぁこんな感じですね。自分の作った物においてこれ俺のだし、勝手に公表や改変しないでくれる?っていう権利ですね。

日本のインターネットと著作権著作者人格権

では、著作権著作者人格権)が日本のインターネットにどのように影響しているのでしょうか。
実際に裁判になった例を見てみましょう。

複製権の侵害の可能性

例えば検索エンジンのキャッシュの扱い。日本の著作権法では現状、キャッシュは複製とみなされるため、著作者に無断でキャッシュを作成・蓄積する検索エンジンサーバは「著作権侵害の可能性が高い」。ヤフーやグーグルなどは、検索サーバを国外に置いている。


著作権は混迷」「ダメと言ってもネットは止まらない」──東大中山教授
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/03/news033.html

複製権と公衆送信権の侵害

携帯電話を利用した音楽サービスの概念図 インターネット上にデータを保存する「ストレージ」を利用し、ユーザーが自分のCDなどの音楽データを保存、いつでも携帯電話にダウンロードして聴けるサービスの提供が著作権侵害に当たるかどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁高部真規子裁判長)は25日、著作権侵害に当たるとの判断を示した。

 問題のサービスは、情報通信会社「イメージシティ」(東京都台東区)が05年11月から始めた「MYUTA」。ユーザーは音楽データをパソコンから同社のサーバーに保存し、携帯電話へのダウンロードはユーザー本人しかできない。

 このサービスに対し、日本音楽著作権協会JASRAC)は著作権侵害だと指摘。同社はサービスを中止したうえで、同協会を相手に著作権侵害に当たらないことの確認を求めて提訴していた。

 訴訟で同社は「実質的にデータ複製や送信をするのはユーザー自身。不特定多数への送信はしておらず、著作権は侵害しない」と主張したが、判決は「システムの中枢になるサーバーは同社が所有、管理しており、同社にとってユーザーは不特定の者。複製と公衆(不特定多数)への送信の行為主体は同社だ」と判断。協会の許諾を受けない限り、著作権を侵害すると認定した。【北村和巳】


「音楽保存サービス:ストレージ利用は著作権侵害 東京地裁」(毎日新聞
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070526k0000m040090000c.html

とまぁこんな感じに著作権の侵害が起きているわけです。
上のような事例を見るとWEBサービスってかなりの著作権侵害をしてしまっているのではないでしょうか。

もし、著作者人格権WEBサービス内で行使されたら

たぶん、このようなことができるのではないでしょうかね。規約で著作者人格権の不行使を承諾させてあると言っても著作者人格権の不行使契約についても無効と解する見解が実際にある。ようは今の著作権ではどんな場合でも著作者人格権が発動出来てしまう可能性が大いにあるのではないでしょうか。

例えばこのような状態ではないでしょうか(専門家ではないので突っ込んでください)

  • タイトルの転載を気分次第で常識等関係なしに禁止できる。(著作者人格権の同一性保持権の侵害)
  • 自分で作成した画像ファイルが勝手にリサイズされた。(著作者人格権の同一性保持権の侵害)
  • 氏名表示の権利が発動している無断リンク著作者人格権の氏名表示権の侵害)
  • 勝手に自分の日記が改変されて、同じサービスないの違う日記に書かれてあった(著作者人格権の同一性保持権の侵害)

等等

思いつくだけでもかなり上がります。だがこれが許されているのは曖昧な法解釈の下です。
訴えようと思えば訴えられるのであるはずです。さらに上の事例の通りカラオケ定理を下に著作権侵害物を不特定多数に配布しているということでWEBサービス側が訴えられる可能性だって大きくあるのではないでしょうか?

曖昧な法解釈は日本のインターネット、さらには文化の成長を鈍化させないでしょうか?

そろそろ法解釈だけでは無理なのではないでしょうか?
曖昧な解釈のもと法律にビクビクしながらWEBサービスを作るのは嫌ではないでしょうか?
もし、このインターネットというものが日本だけならいいが世界で誰でも使えるようになってきているのです。
そのような下、こんなところで止まっているようでは色んな国に追い抜かれて行くのはすぐでしょう。

根本的な解決には立法を

先ほど紹介した東京大学の中山教授が次のように述べています。

強すぎる著作者人格権は、2次創作やパロディー文化の広がりもはばむ。「一般人による2次著作や共同著作が増えている。翻案文化はもう止められない」

 法律で一度与えた権利を、法改正で縮小することは難しい。「法解釈によって権利水準を引き下げる努力が行われてる」のが現状だが「法解釈だけでは無理がある。立法の問題に踏み込まざるを得ない」。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/03/news033.html

著作者隣接権の改正はどうだろうでしょうか?

日本には幸い著作者隣接権というものがあるらしです。

著作権者隣接権

著作物を伝達する場合に、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に与えられる権利で、もとの著作物の著作権に抵触しない範囲で伝達者に認められる権利。


http://ja.wikipedia.org/wiki/著作隣接権

著作権者隣接権の適用される者の一部にこのようなものがあります。

放送事業者・有線放送事業者 (放送局・CATV局など)に認められるもの
複製権 放送を録画・録音及び写真的方法により複製する権利
再放送権・有線放送権 キー局放送を地方局放送したり、CATV放送したりする権利
送信可能化権 インターネット通信により放送を公衆送信させる権利


http://ja.wikipedia.org/wiki/著作隣接権

放送事業者は著作物を伝搬するに対し複製権や送信可能化権などを持てるのです。

WEBサービス事業者

WEBサービス提供者に対し適切な著作権者隣接権の権利を持てるように出来ないかということです。
そうすれば、WEBサービス提供者は著作権に悩まされずにサービスを提供出来るようになるのではないでしょうか。
だが、これだけでは著作財産権には悩まないが著作者人格権は適用されてしまいます。

再創造を阻む著作者人格権

インターネットでとてつもなく早くなったコンテンツの流通速度。新しいコンテンツを生むということは自分の経験や考え、環境から再創造するものです。0から1を作り出せる人間等いないと自分は思っています。偶然も必然でしょう。このようなインターネットの使われ方をしているのに著作権者を守るだけの著作権はビジネスありきであり、再創造を阻んでいるのではないでしょうか。(著作権だけを変えるのでは解決にはなりませんが)


今日もあるクリエイターと話していたが物を作り出す大きな動機というものは「誰かに認められたい」という社会的に優位に立つという欲求であろう。欲求を刺激し合いながら新しいコンテンツが再創造されていく仕組みを作っていくべきであり、現行の著作権を利用したコンテンツ産業は日本文化を衰退させるだけではないだろうか?日本は昔から模倣+日本の技・環境特性を活かしコンテンツを再創造してきました。今度はインターネットを使ってその再創造の速度を上げて、日本独自の価値観で変えていくのがジャパニズムなのだと自分は思います。


WEBサービス界隈の関係者はそろそろこの問題を真剣に考えた方が良いのではないでしょうか?